音楽には無限の可能性がある
芸についてあれやこれやと語っているわけですが、そもそも私も積極的に自分からやりたい派ではありません。というより、そんな人はどちらかというおかしい人です。
やる意味が分からない、何勝手に若手の義務にしてんだ、みたいな感想は多々思いますし、「自己紹介みたいなものだから」とかいうやつにも、なら普通に自己紹介させろやとも思います。
ただ、誰しも大前提として滑るのが怖いっていうのが一番大きい要素を占めていると思います。
どうしたら滑らないのか、という問いの答えは、百戦錬磨の芸人さんでも滑ることがある以上私にはわかりません。
しかし、こと我々がやるような芸においては、音楽の力を借りることで、極限まで滑りにくくできるのではと思っております。
特にピン芸人さんのネタを見ていると、小道具以上に音楽を使っているネタが多いことがよくわかります。
注意していただきたいのは、音楽を使えばウケる!ということではなく、滑りにくくなる仕掛けがある、ということです。
主に以下の3つがあるかと思います。
1. 嫌な間が無くなる
特に一人で芸をすると、常にしゃべり続けない限り、音のない間が生まれてしまいます。
この間は、見てる側は盛り下がりを感じてしまうことが多く、演者側は滑っている気がして心理的負荷がかかり、ネタに焦りが出たりだんだんとやっていて自信が弱まってしまう恐れがあります。
音が流れていれば間はなくなりますし、アップテンポな曲とかだったらそれだけで少し盛り上がっている雰囲気を作れます。
サビ前から流していると、サビで何かあるんだろうな、っていう期待感を煽ることもできます。
2. ネタのテンポが取りやすい
音楽を流しながらネタをする場合、どのタイミングでどういう喋りや動きを入れるっていうのが練習時点から決まってくると思います。
本番でも音楽が流れていれば、あとはそれに合わせて考えたネタをやるだけなので、一定のテンポでネタができます。
また、ネタそのものを音楽に関連付けていると、セリフがとんだりするリスクも軽減できますので、余計なテンポの乱れが発生しにくいです。
3. 相方の役割をしてくれる
極論かもしれませんが、流れている音楽そのものを相方としてとらえることができます。
曲の盛り上がりや、アップダウンに合わせて喋りや動きをすることは、音楽との掛け合いとして見えます。
また、音楽に分かりやすい歌詞がついているものであれば、ネタに合わせて歌詞との掛け合いを演出することもできます。
特に一人でやらないといけないときは、音楽は心強い味方になってくれます。
ただし、音楽から何までネタに合わせて作るというのはなかなか難しいものです。
そこで、今言った3つの視点から、芸人さんの音楽の取り入れ方を見つめなおしてみてください。
逆に言えば、この芸にこんな音楽があったらより面白くなるんじゃないか、という工夫もOKです。
音楽の種類はJ-POPでもクラシックでも単なる効果音でも何でも構いません。
音楽を流せる環境でなければ、誰かに歌ってもらうもよし、自分で音楽をくちずさみながらマジックをするもよし、ライブ風に最初に自分で歌ってみて合いの手が入ってきてからそれに合わせてネタをやるもよしです。
ただし、ガチで歌うようなネタは本格的に歌唱力が問われてきますので、取扱注意です。
後は一発芸を何連発とかする際のつなぎの合いの手に曲を挟むっていう使い方もあります。
まず手始めに、音楽を使っている芸人さんのネタを見てみてください。
皆さんが思っている以上に幅広い使い方がそこにはあります。